情報誌CEL
生活を脅かす災害の現状と減災社会づくりへの取り組み
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
2010年01月08日
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河田 惠昭 |
都市・コミュニティ
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まちづくり
地域ガバナンス
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情報誌CEL
(Vol.91) |
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2009年10月8日に台風18号が来襲した。この台風で、死者5名、重軽傷者136名を数えた。これらの人的被害の大半は、暴風警報発令下での高齢者の不注意な市街地歩行や非常識な行動などによって発生したと断言できる。それは、風速20m/sの怖さを知らない、あるいは忘れていることに起因している。暴風警報が出ているときは一人での外出を控えるなどの注意が必要だろう。
また、千葉県と茨城県では竜巻による被害が発生した。宮崎県、愛知県など、過去に一度起こった地域も要注意である。
2006年11月7日の北海道佐呂間町若佐において、竜巻によって工事用の仮設プレハブ小屋が破壊されて9人が死亡した。しかし、死亡に至った原因は、竜巻に襲われてこの仮設の事務所が破壊したからであった。わが国では住宅が竜巻で大破し、屋根が吹き飛ばされても、そのまま家の中にいた人が犠牲になったという例は無い。竜巻が接近中といえども、住宅に居るときにはあわてて屋外に出ないことが大切である。
2009年8月9日には台風9号から延びる湿舌(※1)が紀伊水道から鳴門海峡を通り兵庫県西部に達し、兵庫県佐用町を中心に集中豪雨災害が起こった。兵庫県では過去には神戸市・新湊川流域(1998年、99年)など、記録的な豪雨が発生してきた。これらの集中豪雨の雨域は数百平方キロ以下であるから、流域面積が雨域面積より小さい中小河川の氾濫危険性が高い。佐用川は流域面積が約200平方キロであり、豪雨によって急激な増水が起こったと考えられる。PDFデータ1ページ目の表1は、集中豪雨がさらにピンポイントに集中するゲリラ豪雨災害の場合で、2008年に発生した約60地域のうち、被害が大きかったものを選んだ例である。
(※1)天気図で見たとき、暖かく湿った空気が舌状に伸びている部分のことを指す。前線などと影響し合って大雨を降らせる場合が多い。