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情報誌CEL

小池 志保子

2010年01月08日

大阪長屋の再生―住文化の継承と耐震改修

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2010年01月08日

小池 志保子

都市・コミュニティ
住まい・生活

まちづくり
住宅
住生活

情報誌CEL (Vol.91)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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■大阪の住文化
冬には昼間の暖かい日差しを受けながら障子に映る影を眺め、夏には同じ場所で簾戸の隙間から抜ける涼しい風を感じる。大阪の都心・梅田からほど近い場所にある「豊崎プラザ」の町家では、夏と冬で建具の入れ替えを行い、それぞれの季節の風情が楽しめる。
このような四季を感じる暮らしが日本人の住まい方であった。しかし、現代の生活はエアコンディショナーに頼りきっており、窓を開けずに暮らす人も珍しくない。季節の気配を感じられるように少し工夫をすれば、日々の暮らしはもっと豊かになるのではないだろうか。
■町家と長屋を舞台にした現場プラザ
持続可能な都市再生が叫ばれるなか、建築ストック活用のニーズが増大している。こうした社会の動向を背景に、長屋建築の未来像について所有者の方といっしょに考え、住宅を残して積極的に活用していくことを目指し、「大阪市立大学豊崎プラザ」が誕生した。
豊崎プラザは、JR大阪駅から徒歩15分のところにある。およそ300坪の敷地に町家である主屋と5棟の長屋建ての貸家があり、その中央を路地が南北に貫く。この路地は地道のまま残され、植栽が路地を彩り、まち並みが形成されている。主屋と長屋はどちらも大正時代末に建築されたもので、伝統的な木造軸組構造による建物である。これらの建物は、国の登録有形文化財としても登録されている。
「保存」をテーマとした計画は、ともすれば、生活とはかけ離れたテーマパークのようになってしまう傾向がある。しかし、豊崎プラザでは、住人の暮らしをベースに建物を活用することで、生活の知恵に学びながらプロジェクトを進めている。
その要となる特長が、今後も住める場所として長屋を再生しているということである。80年以上も住み続けてきた主屋と長屋に今後も住み継いでいくため、その活用方法を探っている。
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