情報誌CEL
加古川グリーンシティ防災会
2010年01月08日
日常生活からはじまる地域ぐるみの楽しい減災活動
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2010年01月08日
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加古川グリーンシティ防災会 |
都市・コミュニティ
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まちづくり
コミュニティ・デザイン
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情報誌CEL
(Vol.91) |
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「大西さん、こんにちは」、「こんにちは」。同行して歩いていると、次々に、行き交う人から声がかかる。防災井戸や公園の側を通りがかると、子どもたちが走り寄ってくる。ここは兵庫県加古川市にある「加古川グリーンシティ」。7棟に584世帯(約2000人)が暮らす大規模マンションだ。
「住人たちが声を掛け合い、挨拶し合うのも、れっきとした減災活動。顔見知りになること、助け合うこと、すべてはそこからはじまります」と加古川グリーンシティ防災会会長の大西賞典さん。
同会の活動の原点は、阪神・淡路大震災。当時、職場が神戸だった人も多く、住民たちの中から、災害に強くなるためにマンション内で自分たちができることをしようという声が出はじめ、1998年、自主防災組織を設立、活動に乗り出した。
最初の活動は、マンション内の「チャンピオンマップ」を作ったこと。いろいろな職種の人がいるマンション住民の中で、何か他の人の役に立てる能力・特技あればそれを登録してもらおうというもの。さらにその後、高齢者などを対象とした、災害時に「ひと声かけてもらいたい人」の登録も開始。人の輪が広がった。
「楽しく防災・減災活動をやろう!」が合言葉。例えば、夏祭りなどのイベントに毎回登場して大人気の「イカ焼き」は、運営担当者にとっては、そのまま非常時の炊き出しの予行演習になっている。
「熱しやすく冷めやすい減災活動ではだめ。日常的に続けるためには、楽しくなければならない。減災活動だと知らないまま、みんな参加してるんです」
サッカーや野球の「パブリックビューイング」、「ふれあいもちつき大会」、「子どもたちとの合同の町内夜回り」など、折にふれ世代を超えて参加できる行事を企画。。楽しく過ごしている間に参加者同士が知り合いになれる。もちろん、その間に住民たちの間で防災・減災のノウハウが、相互のふれあいを通して共有されていく。
防災会の中心メンバーには現役世代の男性が多く、活動内容は、ソフト・ハード両面でとにかく多彩だ。メンバーの特技を活かし、情報発信にも重きを置いている。
広報誌「グリーンだより」を発行し、情報伝達システム「グリーンネット」やコミュニティ放送「ニューメディアシステム」などで域内のメディアネットワークを構築。災害時の行動指針を示した小冊子「命のライセンス」や「非常持ち出し本」を作成して各戸に配布し、話題を呼んだ。
こうした活動は外部の団体からも関心を集め、連携の要望も出てきた。今後は「各地の自主防災組織との住民発のネットワークづくりに努めたい」と大西さん。防災・減災の輪はさらに広がりを見せている。