豊田 尚吾
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2008年10月16日 |
豊田 尚吾
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(産経新聞 夕刊(大阪)2008年10月16日掲載)
輸入食品のメラミン混入に留まらず、国内業者でさえも事故米を食品の原材料として卸していました。いったい何を信じればよいのだという生活者の悲鳴が聞こえてきます。
逆に私たちは今までは特に企業を疑うこともなく日常生活を送れていたわけです。その意味で、取引相手との信頼関係がいかに大事かが分かります。
信頼といえば、昨今、企業は消費者との信頼の絆(きずな)としての「ブランド」を重視しています。ブランドとは高級品のことだけではありません。私たちの心に、何らかの望ましい期待を持たせるような力を持った銘柄や企業名のことです。
多くの企業はそのようなブランド力を得るために、何を期待して欲しいかを明確に打ち出し、それを裏切らないように統合された経営をしようと努めています。
その努力が実れば、消費者の心に揺るぎない期待が作られ、それが信頼となり、結果として長いお付き合いが実現できます。これは消費者にとっても企業にとっても望ましい関係です。ならば、どの企業がどんなブランドを作ろうとしているのかを見極める力が私たちにも必要となります。
では、ブランド力のある企業を見分けるにはどうすべきでしょうか。第一に、その企業名や商品名を聞いたとき「〇〇といえば、スカッとさわやかな清涼飲料水だ」とすぐに“具体的な”長所、期待感が心に浮かんでくるか。第二に、その期待を裏切らないような企業の姿勢が目に見え、しかも顧客対応などにムラがなく、いつでもどこでも同じような結果を提供してくれているか。
そんな会社があれば、それはあなたにとってのブランド企業です。期待を裏切ることは少ないでしょうし、もしミスがあってもあなたを納得させるべく誠実に対応するでしょう。当面は信頼して積極的に関係作りをしてもいいと思います。
一方で企業を見抜く努力は怠るべきではありません。そのためにも企業の情報発信や、トップ経営者の言葉に耳を傾ける習慣はつけておきたいものです。気になる、あるいは気に入った企業のHPを時々のぞくことなどは生活防衛上も望ましいことです。
(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)