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豊田 尚吾

2009年02月19日

「不確実時代の生き方セオリー(18)」自分の財産活用の場としての同窓会

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2009年02月19日

豊田 尚吾

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2010年11月25日新規登録

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(産経新聞 夕刊(大阪)2009年2月19日掲載)

 

 「同窓会」に参加してみたいと思っている人は、全体の半分強もいるとの調査があります。その際、同じ学年の集まりやクラス会では、人脈を広げるといった実利的メリットよりもむしろ“ノスタルジア”が、参加の動機として強く作用するようです。

 映画「ALWAYS三丁目の夕日」を持ち出すまでもなく、昔を懐かしむという意味でのノスタルジアという感覚は誰でも持っています。とくに青年期から成人になるまでに聴いていた音楽などがノスタルジアを喚起しやすいとの研究もあります。やはり多くの人は多感な若いころに、忘れがたい経験をしているのでしょう。学生時代の同窓会が、比較的高い関心を保ち続けているのもこのせいかもしれません。

 ノスタルジアは今までの人生で蓄積してきた思い出や経験という“自分の財産”に関心を向けさせてくれ、それを活用するよい機会を与えてくれる、と考えることもできます。人によってはノスタルジアを、後ろ向きな姿勢であるとして否定的に評価する向きもありますが、むしろ今述べたような、よい面を活かすべきだと思います。

 同窓会を自分の思い出という財産を活用する場とするとき、忘れてはならないのは、それを支える人たちの存在です。同窓会は純粋なボランティアで運営されることが多いだけに、幹事さんなどの献身がなければ成り立ちません。

 「飲水不忘掘井人」(水を飲むときには、その井戸を掘った人のことを忘れてはならない)というのは中国の古い言葉です。今述べた同窓会の幹事さんのように、井戸を掘る人はあなたの身近にもたくさんいます。そのような人の厚意に感謝し、可能な範囲で自らも参加していく姿勢を持つことが、後々多くの人の喉(のど)を潤すことに繋(つな)がります。

 時代が劇的に変わるときには、ノスタルジアへの志向が強くなるとのことです。そう考えれば、現代はまさにノスタルジアが求められているともいえます。そして、その活用の場としての同窓会が新しい意味をもったコミュニティーやネットワークとして見直される日が来るかもしれません。

 

(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)

 

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