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情報誌CEL

三島 順子

2012年01月05日

第2回 日本での環境教育とその周辺

作成年月日

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2012年01月05日

三島 順子

エネルギー・環境

地球環境
地域環境
環境対応

情報誌CEL (Vol.98)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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-はじめに-

第1回は環境教育をめぐる世界的な会議や重要な宣言について報告した。第2回目である今回は、日本での環境教育の移り変わりと、学校以外での環境教育を支える取り組み(地域・NPO・行政・企業など)について報告する。第1回でも触れたように「環境教育」とは一般的に「教育」という言葉で連想される「学校教育」だけではなく、市民教育や生涯教育のように社会全体への教育を含んでいる。本報告においては社会全体への教育では教育内容や活動主体が多岐にわたることから、報告内容を学校教育、中でも小学校での教育に限定して報告することにする。

-日本の環境教育のはじまり-

●公害学習の系譜

日本で、環境に関する教育は1950年代から70年代にかけての急激な工業化に伴う公害教育が始まりといわれている。一般的に日本の公害は1880(明治13)年頃の足尾銅山における鉱毒公害がはじめといわれている。その後、近代化と、第二次世界大戦後の高度経済成長に伴い、公害が各地で顕在化してくる。50年代前半、熊本県水俣市で発生した水俣病(メチル水銀中毒)、60年代前半の新潟県阿賀野川流域で発生した新潟水俣病(メチル水銀中毒で第二水俣病ともいわれる)、60年代の四日市ぜんそく(石油コンビナート排煙の高濃度二酸化硫黄が原因)、50年代半ばに富山県阿賀野川流域のイタイイタイ病(鉱山の排水によるカドミウムが原因)が発生した。これらの公害は67〜69年にかけて訴訟が提起され、四大公害訴訟といわれている。
 こうした社会情勢に呼応するように、58年「公共用水域の水質の保全に関する法律」、「工場排水等の規制に関する法律」、62年「ばい煙の規制等に関する法律」が制定され、67年に「公害対策基本法」が公布された。70年11月末に開かれた臨時国会(第64回国会)で、当時の公害対策を求める世論、社会的関心の高さにこたえて公害問題に関する集中的な討議が行われた。政府は、全国各地で問題化していた公害への対処には公害関係法制の抜本的整備が必要と認識し、公害対策基本法改正案をはじめとする公害関係14法案を提出し、その全てが可決成立した。このときの法体系整備のポイントは3点である。(1)「生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする」と表され、経済活動が環境より重要であるとも読める「調和条項」を削除し、国の基本的姿勢を明確にした。(2)大気汚染、水質汚濁では従来の指定地域での規制から全国規制に、また、規制対象物質を拡大し規制強化を図った。(3)事業者の基準遵守の指導権限をほぼ全面的に地方に委譲し、また、上乗せ規制の規定を明確化して地方自治体の権限を強化した。

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