三島 順子
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2012年02月14日 |
三島 順子
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.99) |
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-はじめに-
前回は、学校で行われている環境教育のその系譜について、学校での授業を支える「学校以外の力」として企業、NPO、行政などからの情報提供などについて報告した。今回は、学校以外の場で行われている「環境教育を支える事例」を紹介するとともに、今後について考える場としたい。
紹介する事例は「家庭・地域・学校」のこどもの全活動領域で環境学習を市全体として進めている西宮市の「EWC事業」と、大学で環境分野を専攻している学生が学校教育の1時間(小学校での45分授業)でこどもたちに環境教育を実践している大阪産業大学花田眞理子教授のフィールド/スタジオ・ワーク演習の2つである。
-地域での取り組み〜西宮市のEWC事業-
EWC事業の 20年小史
今から20年前、西宮市が環境教育の先駆けであるEWC事業をスタートさせた。EWC事業とは、西宮市全域で行われている環境教育を支援する仕組み「地球ウォッチングクラブ・にしのみや(Earth Watching Club Nishinomiya)」の略称である。EWC事業を事業受託しているNPO法人こども環境活動支援協会(LEAF)によると、現在までEWC事業は3つの段階を経て発展してきたという。
第一期(1986〜91年)
プレEWC期ともいえる第一期(86〜91年)はそれまでの行政が行う理化学的な環境調査の結果から環境啓発を行うだけではなく、身近な自然と出会い、そのことから環境の現状を理解してもらう活動を市民に提案しようと苦心していた。例えば、ひとつの試みとして自然に触れることから始めようと、89年に「ウォッチング水辺の自然」、翌年に「町中の生き物ウォッチング」を市民参加型の環境啓発イベントとして開催した。これらのイベントは「身近な自然とのふれあいを通じて環境を考える」を基本的な視点とし、市民の環境問題への関心を高めるために行われた。さらに翌91年には環境セミナー「わが町・環境ウォッチング!」を、自然、大気、水、ゴミとリサイクル等の視点から考える環境学習の場として10回にわたって提供した。89年と90年の環境啓発イベントは共に2千人以上の市民を集めることに成功し、市民の意識が高まっていることは実証できた。しかし、啓発の成果を、例えば環境を守るために日々の生活における継続的な行動にまでつなげるところには到達できなかった。