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情報誌CEL

飯尾 潤

2012年03月26日

時の話題 東日本大震災から1年−復興事業の本格化と創造性

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2012年03月26日

飯尾 潤

住まい・生活
都市・コミュニティ

その他
都市システム・構造
地域ガバナンス

情報誌CEL (Vol.100)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 東日本大震災から1年が経った。多数の犠牲者を偲ぶとともに、被災者の苦しみを、いま一度、国民全体で分かち合うべき時である。ところが、「復興」といえば「遅い」というのが決まり文句のようになっている。確かに、なかなか進まない復興事業に、イライラさせられることも少なくない。しかし、あれほどの災害を受けた被災地が、何事もなかったかのように、すぐに立ち直るはずもない。明るい話題を探せば、内陸部を中心とした鉱工業生産の復旧など、いち早く立ち直った分野もあるし、前向きな復興への動きが本格化して、熱気が感じられる地域もある。ただ、被災地間の格差は広がる一方である。そのうえ、福島の原発災害に関しては、まだ先が読めず、復興にすら入れない地域と住民が多数いることを忘れてはならない。
 そこで、先を行く地域や人々の復興過程を加速させるとともに、動きが出てこない地域へ、もう一段のてこ入れを行うという両面作戦にならざるを得ない。高台移転や地面のかさ上げなど、大規模な土木工事を必要とし、大がかりな権利調整が求められる事業は、順調に進んでも一定の時間がかかる。むしろ、徹底した当事者の話し合いを経ていないと、事業を始めてから行き詰まることになりかねない。その意味で、かけるべき手間を惜しむべきではないが、行政職員のマンパワーなど量的あるいは質的な不足がある場合には、適切な支援体制の再構築が必要となってくる。
 ところが、全国から被災地に向かう人々の多くが立ち寄る仙台では、復興景気で賑わっているような面もあり、建設関係では復興需要によって全国的に材料費や工賃が値上がりしているという話も聞く。そこで、仕事不足に悩む地方の建設業者などからは、もう被災地支援よりも、それぞれの地元を優先してほしいという意見が出てくるようになった。しかし、実際に被害を受けた地域では、大変な苦労が続いているのである。東北地方という大きな単位ではとらえきれない地域の実態に目を向ける必要があろう。また、現地の雇用情勢を見ても、建設業など人手不足に悩む業界がある一方で、仕事がないという被災者も多いとされる。雇用のミスマッチは、関係者が知恵を出し合い、気持ちを切り替えて、克服していくべき課題である。

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