京都府 洛南浄化センター
2012年07月10日作成年月日 |
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2012年07月10日 |
京都府 洛南浄化センター |
エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
情報誌CEL (Vol.101) |
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地産地消型エネルギーの循環モデルとして低コスト化、高効率化をめざす
汚泥から発生し、メタンを主成分とする消化ガス(バイオガス)は有効活用が期待される再生可能エネルギーのひとつ。その利用が進んでいるのが下水処理分野で、現在、全国約30の下水処理場で消化ガス発電が導入されている。
そのひとつ「洛南浄化センター」は、京都盆地の南部、桂川・宇治川・木津川の合流点に位置し、木津川下流域35万人の下水処理を行っている。近年、供用区域の都市化が進み、流入下水の増加とともに増え続ける汚泥の減量・減容化と消化ガスの有効活用が課題となっていた。そこで2005年3月、同センターが導入したのが消化ガス発電・汚泥乾燥コージェネレーションシステムだ。
「消化ガスで2基のガスエンジン式発電機を回して発電していますが、それだけでなく、ガスエンジンの排熱を汚泥乾燥にも有効利用し、利用効率を高めているコージェネレーションシステムが特徴です」と同センターの吉田元彦所長は説明する。
同センターでは1日に約11万5千m3の下水を処理し、宇治川に放流している。その過程で排出される下水汚泥を、消化槽で嫌気性発酵させることで約1万900m3/日平均の消化ガスを発生させている。導入以前はその4分の1だけを消化槽加温の燃料として活用し、残りは余剰分として場内で焼却処分していたが、それらすべてが有効活用されることになった。
「多い日には当センター全体で、一般家庭約8千戸分の電気を使いますが、発電設備で発電した電気はすべてセンター内で使っており、年間で約35%の節電になっています」
発電時に出る熱で乾燥させた汚泥はセメント工場へ運ばれて、建築資材などに再利用されている。まさに再生可能エネルギーの地産地消モデルの施設といえるが、さらなる低コスト化、高効率化を進めている。
「将来的に下水流入量が増える傾向にありますし、今後とも施設の適正な維持管理と併せて、発電効率や熱利用も含めた総合効率を上げ.るなど、工夫や改善を行ってシステムの最適化を進めていく必要があります」
京都府では水環境施策の一環として、省エネ対策・新エネルギー活用を進めており、2008年にはセンター敷地内の高度水処理施設に省電力設備を、消毒施設には太陽光発電設備を導入した。
エネルギー資源の有効活用策としては、下水汚泥の燃料化も取り組み課題となっている。一方で、府民に下水道を正しく使ってもらうための啓発活動や、学校や市民の見学受け入れ、出前語らいの実施など府民参画の取り組みにも力を入れる。
汚水処理施設が有する機能の「排除・処理」から「活用・再生」への転換をテーマに、同センターではこれからもエネルギーを有効活用し循環型社会の形成に貢献する下水道事業を推進していくという。