加茂 みどり
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2012年07月10日 |
加茂 みどり
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住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.101) |
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研究の背景・目的
近年共働きの夫婦が増加しており、夫婦が共に働きながら子どもを育てやすい社会環境を構築することは重要である。共働き夫婦のワークライフバランスを整え、子どもを育てる喜びを誰もが得られる環境は、女性だけでなく男性にとっても必要である。
一方で、共働き夫婦の多様性にも配慮する必要がある。共働き夫婦には多様な経済層・職種の組み合わせが考えられ、すべてをまとめて共働き夫婦とし、居住の課題やニーズを見出すことは困難である。
以上のような認識から、本研究では世帯主が中堅企業社員である共働き世帯の調査から、そのニーズと居住の課題を抽出することとした。その結果を分析することにより、該当層の共働き世帯に対応した住宅計画の検討課題を抽出することを目的とする。
研究の方法と調査概要
研究の方法としては、大阪ガス実験集合住宅NEXT21に居住する共働き子育て世帯の5世帯に対し、生活や住環境評価に関するアンケート調査、補足のためのヒアリング調査を実施・分析した。アンケートは2008年12月から1月にかけて、ヒアリングは2009年3月上旬から4月下旬にかけて行った。
アンケート調査からみた調査対象世帯の生活
図1に調査世帯の家族構成を示す。世帯Aは、40代の夫婦で、子どもも高校生と中学生であり、ほぼ子育てに手がかからなくなっていることが推測できる。夫も妻もフルタイム就労であるが、妻は残業がなく、勤務地も夫より近い。
世帯Bは、30代の夫婦である。子どもは2歳、最も子育ての負担が大きい時期である。夫も妻もフルタイムで就労し、夫は残業があり、妻も空港のスタッフとして就労しているため、早朝出勤や午後出勤のある変則勤務である。勤務地も遠いため、早朝4時に家を出たり、夜中の0時半に帰宅することもある。
世帯Cは、夫は会社員でフルタイム就労、妻は看護士で、週2、3日夕方のみのパートタイム就労である。子どもは1歳であり、出産前はフルタイム就労であったが、産休と育休を取得後、パートタイムで復帰した。
世帯Dは、夫は会社員でフルタイム就労、妻は自宅近くの学校の学食で、平日9時30分から14時までのパートタイムで就労している。子どもは中学生と小学生の男児、幼稚園に通う5歳の女児の3人であり、家事や育児の負荷が高いことが推測できる。
世帯Eは、夫は会社員でフルタイム就労、妻は保育園で平日14時30分から18時30分までパートタイムで就労している。子どもは小学生の女児と男児である。