豊田 尚吾
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2012年07月10日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.101) |
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幸福感に影響を与える要因
さて、このような幸福感は、どのような理由から形成されるのであろうか。自由回答を見てみると、「家族がいる」「健康である」「経済(収入が安定している)」「平穏に暮らせている」といった、なるほどと思わせるキーワードが並んでいる。そこで12の選択肢を提示した上で、「あなたにとって、幸福感を感じるためには何が重要だと思いますか」とたずねた。結果は図2の通りである(幸福感に影響を与える要因についての、基礎的な考察に関しては、拙稿「幸福に必要な条件と年齢・性別」〈情報誌「CEL」94号所収〉で行っている)。
自分や家族の健康が第一、よい家庭やお金がその次に求められ、人間関係に関する選択肢がその次に選ばれている。これも毎年同じ傾向を示す調査結果である。しかし、回帰分析などでは、健康であることが幸福感を高める一番の説明要因とはなっていない。健康の“欠如”は不幸を感じさせる強い原因になることは容易に想像できる。しかし、健康である場合には、それが当たり前になって、日々、それに起因する幸福感を実感できない(忘れがちになる)、いわゆる衛生要因であるからだと考えられる。
では、データとしての幸福感の動きと関係の深い要因とは何であろうか。 CELでは、以前決定木分析を用い、「よい家庭が築けている」かどうかなどの評価が幸福感に大きく影響しているとの結論を導いた(前出稿)。そこで「図2の選択肢に対する実感と幸福感との相関係数」を計算してみると、全てが有意(意味のある)に正の関係を持っているとの結果を得た。係数の絶対値が大きいものは「よい家庭が築けている(0・533)」「自分の大切だと思っている人が幸せである(0・498)」などであった。