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情報誌CEL

山納 洋

2012年11月01日

学びの場、出会いの場、気づきの場「トーキング・カフェ」

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2012年11月01日

山納 洋

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン
地域活性化
まちづくり

情報誌CEL (Vol.102)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

 「トーキング・カフェ」と呼ばれる共通の関心を持った人たちが語り合うサロンが、近年注目を集めています。ここでいう「カフェ」は、飲食業というより、人の集まりやネットワークのことを指しており、会場も会議室やギャラリー、コミュニティスペースなど多様で、その目的もさまざまです。今回はそうした動きの中から、大阪市中央区、平野町の「船場アートカフェ」での「マンスリーアートカフェ」と、御堂筋界隈での「御堂筋トーキン・アバウト」の動きについて紹介いたします。

―ソーシャル・キャピタルの醸成―
 「船場アートカフェ」は、2006年、大阪の中心地である船場に、大阪市立大学の研究施設・都市研究プラザによって、設置されました。
ここを拠点に実地調査、ワークショップ、パフォーマンス、展覧会などを行ってきました。メンバーは都市やアートをテーマに研究している大阪市立大学の教員を中心に18名。2011年に拠点を現在の「辰野ひらのまちギャラリー」に移したのを機に、「マンスリーアートカフェ」と題したトーク企画をスタートさせました。
 大阪市立大学特任講師・建築家であり、船場アートカフェの事務局を務める高岡伸一さんは、アートカフェの可能性についてこう語っています。
 「アートには、人々に気づきを促す力や、知らない人同士のコミュニケーションを促進する力が備わっています。船場アートカフェではこの力を活かし、アートによる都市再生、地域活性化に取り組んでいます。 近年マンションが増えたことで、船場界隈には新住民が増えてきていますが、古くからこの地域にいらっしゃる方々との接点はほとんどなく、地域コミュニティの課題となっています。新たな都心居住者の中には利便性を求めて転居してくる方が多いのですが、地域に由緒ある建築が残されており、歴史や伝統が根付いていると知ってもらえると、地域に対する愛着が生まれます。船場アートカフェでは、両者の間をつなぎ、新たな都市コミュニティを生み出していくことができないかと考えています。地域の人たちに、トークや催しの時だけでなく気軽に立ち寄っていただけるコミュニティカフェにしていきたいですね」
 船場アートカフェの取り組みは、人々のつながりが希薄になりがちな都市において、ソーシャル・キャピタル(信頼に基づいた社会的つながり)を再構築し、市民が協調・連帯していける土壌をつくることが、強く意識されているようです。
 筆者は2012年7月13日に開催された第11回「建設記録映画にみる大阪の都市変遷」に参加しました。参加者は24名。地域にお住まいの年配者か
ら学生まで、幅広い層の方々が集まっていました。当日はコーヒーを片手に、戦前戦後に建てられたビルの建設記録映画を鑑賞しつつ、マスターを務める高岡さんの解説をうかがうという展開。軟弱地盤にいかにして高層建築物を建てるかという課題と、それを解決するための建設技術の移り変わりについて、その片鱗を知ることができました。

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