柳沢 有紀夫
2013年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2013年03月01日 |
柳沢 有紀夫 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.103) |
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オーストラリア人の旅行先として日本はとても人気がある。訪問した人のほとんどが古都の佇まいや商都のにぎわいなどとともに感心するのが、数々のハイテク技術。たとえば「トイレからお湯が出てお尻を洗ってくれる」とか「自動販売機やATMが音声でお礼を言う」とか。ただ、「センサーで人を感知して自動的に上がる便座の蓋」に関しては、「心霊現象かと思って、パンツを脱ぐ前に漏らしそうになった」という声もよく聞かれる。
「電車が5分とか10分に一度来る」も驚きの種だ。私が住むブリスベンは衛星都市も合わせた人口が約200万人のオーストラリア第3の都市。わが家は街の中心地点から直線距離で8キロしか離れていないが、それでもラッシュアワーを過ぎると電車は30分に1本となる。さらに郊外に行くと、1時間に1本となる。「新幹線に乗る」ことを旅の目的のひとつにしている人も多いが、「速さは知っていたけど、あんなに立て続けに来るとは思っていなかった」という声も頻繁に聞く。国土が広いせいもあるが、オーストラリアで長距離列車というと、1日2本とか週に2本という、実用性よりも観光を目的としたものがほとんどだからだ。
一般家庭に泊まった経験のある人は、「シャワーのお湯は出し放題」というのにも驚く。というのは、ブリスベンのほとんどの家では家族が入れ代わり立ち代わりで20分も立て続けにシャワーを浴びると、水しか出なくなるからだ。都市ガスが来ている家庭はほとんどなく、電力で沸かしたお湯をタンクに貯めるのだが、その容量が限られているのだ。
もうひとつインフラの話題を書くと、ブリスベンの中心地から車で40〜50分走ると、上水道がない地域も多い。屋根に降った雨水を巨大なタンクに貯めてろ過して使用。雨不足で残量がわずかになると、タンクローリー車のようなものに来てもらい、水を買うのだ。まるで吉幾三さんの歌『俺ら東京さ行ぐだ』に近い世界。またはドラマ『北の国から』の黒板家か。