ケイト・クリッペンスティーン、池内 紀、鈴木 隆
2013年07月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2013年07月01日 |
ケイト・クリッペンスティーン、池内 紀、鈴木 隆 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.104) |
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日本人は今、余暇を十分に活かせているのでしょうか?日本で長く生活し、日本人以上に日本についての洞察を深めているケイト・クリッペンスティーン氏、ドイツ文学・ドイツ語文化に造詣の深い池内紀氏、CEL研究員鈴木隆が、日本人の働き方、人生の楽しみ方、時間の使い方について、海外からの目線をからめつつ語り合います。
共同体と個人生活
ケイト・クリッペンスティーン(以下、ケイト):
私はもう20年以上東京に住んでいます。人々の生き方は自由になってきているように見えますが、オフタイムは、ショッピングとか、人の大勢いる場所にわざわざ出かけていく人が多いので、あれでは仕事の疲れがとれないのではないかな、と。
池内紀:
日本人は働き者だという定説があります。でも、田舎の生活を見ていますと、日本人は本来、そんなに働いてばかりではなかったのでは、と思えてきます。本来の日本人の生活では、農業が主体だったせいもあるでしょうけれど、季節ごとにお祭りがあって、氏神さまを祀ったり、お寺の行事など、生活のなかに「仕切り」「区切り」にあたるものがちゃんとあった。それが常に娯楽にも結びついていて、家族、共同体で遊ぶルールがあった。
それが戦後の高度経済成長の頃からだんだんと崩れていき、人口が都会に集中することで、今度は都会でのルールができ、そのなかで人がいやおうなく動かされているのでは、と私はみています。労働時間がやけに長い割には効率が悪い。集中して働き、その後の余暇を場合によっては何週間もまとめてとれるようなシステムを作っていかなければならない、と常に思っています。
ケイト:
私も賛成です。企業の人々を見ていると、朝早くから夜遅くまで会社にいるのですが、実際に完成する仕事がそれほど多くない。時間を限定してもっと集中して仕事をすればいいのに、と。