豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2013年07月01日 |
豊田 尚吾
|
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.104) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
個の厚生水準を示す指標として重視される「幸福感」。
あくまで主観的な尺度とされる幸福感だが、その成立には何らかの普遍的要因があるのでは――。
5000人を対象としたネット調査結果から探る。
テキスト分析で探る幸福感の実現要因
分析にあたって
本誌101号では主観的幸福感(以下、幸福感)を表すデータに意味があるという前提のもと、その影響要因に関して考察を行った。それも含め、今まで、幸福感に影響を与える要因として、健康、お金、家族・人間関係などが重要であるということを述べてきた。その背景には幸福感を左右する何らかの普遍的な要因が存在しているのではないかとの問題意識がある。従来は便宜上、5段階尺度などで表される、定型化された理由(例えば健康状態)と幸福度との関係を見てきたが、生の声を生かせていないという問題があった。そこで拙稿ではテキスト(文章)を用いて幸福感の分析に取り組む。利用するのは大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所が行っているアンケート調査(*)である。具体的には"幸福度(11段階)評価"および"幸福度の評価理由"というデータを用いる。後者は数値ではなくテキスト(文章)で記入されており、数値データ以上に豊かな情報量を持っている。一方でそれらは回帰分析などに直接使うことはできないといった問題もある。
そこでまず、得られた5000人分の回答をすべて読み込むという作業を行った。幸福度別(0〜10)にひとつひとつの理由(文章)を読み、何らかの特徴があるかを確認した。それと並行してテキストマイニングという手法を用いて回答からキーワードを抽出し、それらが幸福度と意味のある関係を持っているかを、幸福度別のキーワード出現頻度を調べることで検証した。
幸福度別理由の傾向まとめ
まず、「(あなたの)現在の幸福度を0(全く幸福ではない)〜10(非常に幸福である)の数字で表すとどのくらいでしょうか」という質問を行った結果がChart 1である。この主観的に評価された幸福度別に、「その理由」を読み込んだときの特徴を図の左右に示した(分析者=筆者の印象や恣意性が入り込んでいることは避けられない)。 幸福度0から順に読むと、その変化が比較的わかりやすい。
(*)大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所が毎年行っているネット調査「ライフスタイルに関するアンケート2013」。対象は全国の20歳以上の男女、調査人数は5000人。性別、年齢、地域で国勢調査に近い構成になるよう人数を割り当てている。実調査は(株)マクロミル。本データの調査期間は2013年3月8〜14日。