当麻 潔
下田 吉之、小笠原 潤一
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2013年07月01日 |
当麻 潔
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エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
情報誌CEL (Vol.104) |
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2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う太平洋沿岸の原子力発電所・火力発電所の停止により、関東地区では電力供給量が不足し、計画停電が実施されました。
さらに翌2012年には、新しい安全基準の策定のために、原子力発電所の再稼働が困難となり、関西地区を中心に全国的に電力需給が逼迫し、国民の電源や電力供給に対する関心が非常に高まりました。エネルギー講座第6講では、まず、電気の基礎知識を学び、電力供給システムの現状と今後について考えてみます。
電気のしくみを知ろう
私たちの生活に電気はなくてはならないものです。電気はエネルギーの一種で、単位時間あたりの電気の仕事量が「電力」です。「電力」を決めるのが、電子が流れる量である「電流」と、電子を流そうとする圧力である「電圧」です。「電力(W)」は「電圧(V)」と「電流(A)」の積で求められます。
「電力(W)」に時間(h)をかければ、電気が実際に行った仕事量である「電力量(Wh)」となります。水道に例えれば、水道の蛇口から出る水の勢い(単位時間あたりに流れる水の量)が「W」で、容器に溜まった水の総量が「Wh」です。「W」は、発電設備の発電出力(能力)やピーク電力需要を表すのに用いられ、「Wh」は、月間(年間)電力使用量に用いられます。
私たちが日常生活で使っている電気には、「直流(DC:Direct Current)」と「交流(AC:Alternating Current)」があります。「直流」とは、常に一定方向に流れる電流のことであり、乾電池や自動車のバッテリーのように、プラス極からマイナス極に移動します。「交流」とは、電流の流れの方向と大きさ(電圧)が周期的に変化する電流のことで、家庭用の電源は交流です。直流で動くパソコンなどの電化製品は、アダプターを使って、交流から直流に変換しています。「交流」は、電流(電圧)を縦軸、時間を横軸で表すと、グラフがサインカーブという波形(プラスの山とマイナスの山をひとつの波形とした繰り返し波形)を描きます。1秒間に繰り返される電流(電圧)の変化の回数を「周波数(Hz:ヘルツ)」といいます。日本では、静岡県の富士川から新潟県のいと糸 い魚 がわ川あたりを境に、東日本では50Hz、西日本では60Hzが用いられています。2つの周波数の電気が用いられた経緯は、初めて発電機を輸入した明治時代に、関東ではドイツ製の50Hz用、関西ではアメリカ製の60Hz用を採用したためです。周波数を全国統一するには、莫大な費用と時間がかかるため、現在でもそのままになっています。
電力供給システム
1多様な発電方式
私たちが家庭で使っている電気はどのように作られ、届けられるのでしょうか。
電気は、遠く離れた発電所で作られ、高い電圧で発電所から送り出され、送電線→変電所→配電線→引込線を経て、家庭に届けられています(Chart 1)。 発電の方式には、「火力発電」「原子力発電」および「再生可能エネルギー発電(水力発電を含む)」があります。