CEL編集室
2013年11月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2013年11月01日 |
CEL編集室 |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.105) |
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古きよき路地の風景が残る、大都市・東京の月島。コウノトリとの共生を目指す豊岡。「ゆっくりとした成長」を掲げる守山。震災を乗り越え、日本初のスローシティに認定された気仙沼。4つの事例から、元気なまちにはスローな要素が重要であることが見えてきた。
大都市のなかの、古きよきまち---月島
もんじゃ焼きのまち、月島。
古きよき路地の風景にも、人気が集まっている。
長屋とマンションが共存するこのまちから、大都市におけるスローなまちの可能性が見えてきた。
もんじゃ焼きのまちとして知られる東京の月島。しかし、このまちの人気の理由は、もんじゃだけではない。東京駅や銀座がほど近いとは思えないほど、古きよき日本の雰囲気が濃厚に漂う路地の風景が残っているのだ。
「古いものを生かす」という当たり前
しかし、そもそもなぜ、東京で月島にだけ古いまち並みが残っているのだろうか。
月島は、近代に入って計画的に区割りが決められてつくられた、実は比較的新しいまちだ。明治25(1892)年、隅田川をさらった土砂を使って埋め立てられた月島には、区画整理された路地と長屋がつくられた。その後の戦災をまぬがれ、交通の便も近年まで比較的よくなかった月島は、その頃の古いまち並みを今に伝えている。長屋の残る路地が整然とした印象を受けるのは、計画的につくられたまちの名残なのだ。
月島のとなりまち・豊洲の芝浦工業大学で教鞭をとる志村秀明教授は、月島生まれ、月島在住。途中月島を離れたこともあるというが、やはり月島が恋しくなり、20年前に戻ってきた。そして、まちづくり・都市計画を専門とする志村教授が月島で手がけたのが、自らが住む古い長屋の再生だった。「約90年前の二間長屋を、素材はそのまま使いつつ改装しました。古いものも、考えて使えば快適だし、魅力的だというモデルになるものをつくりたかった」(志村教授)
現在、志村教授の長屋は、市民講座の会場や、シェアハウスとしても活用されている。
「路地、そして長屋は、いわば月島のコミュニティの基本単位です。そこでは面倒なこともありますが、まちとのつながりや居心地のよさは、路地から生まれてくると思います」(志村教授)