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情報誌CEL

林 真理

2014年03月03日

case3 シカ肉料理を通して生物・文化の多様性を守る

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2014年03月03日

林 真理

住まい・生活
エネルギー・環境

食生活
地域環境
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.106)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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愛deer料理教室

「生物多様性 ―― 生きものたちの個性とつながり」の危機。聞き慣れないこの言葉を身近にひもとくキーワードのひとつに「シカ」がある。野生のシカを通して浮かぶ問題に「食」の面から取り組んでいるのが、兵庫県で「愛deer料理教室」を主宰する林真理さんである。

生物多様性を脅かすシカ
背の高い木々は緑が生い茂っているのに、一定の高さ以下には草ひとつなく土がむき出し―今、そんな異様な森の姿が全国的に広がっているのをご存じだろうか。これは、ディアライン=シカの口が届く高さ以下に生育する下層の植物が、シカによって食べつくされたことで見られる現象である。明治〜昭和初期の乱獲で絶滅に瀕した際に取られた保護政策が平成19(2007)年まで続いたことや、オオカミなどシカを捕食する動物の減少などを背景に、近年シカの個体数は爆発的に増加し、生物多様性を脅かす存在となっている。さらに、足りない餌を求めて人里に下りてきたシカがもたらす農業被害も億単位となり、年々深刻化している。
農業被害額が全国でも上位に位置する兵庫県では、ニホンジカの生息数が15万頭弱に上り、生息範囲も県全域に広がっている。当分、年間3万7000頭以上、1日100頭を捕獲しなければ、増加を防げない現状である。そうして捕獲されたシカのほとんどが廃棄されている。(兵庫県森林動物研究センター横山真弓氏より)林さんはその事実に衝撃を受けた。5年前、購読していた日本農業新聞にもシカの農業被害の記事が度々載り、関心を寄せていた折のことだ。外国ではジビエ(食材として獲られた野生の鳥獣)として親しまれる高級食材のシカが日本では廃棄されている……どうにかできないだろうか。
それまで料理教室を開いていた林さんの出した答えは、シンプルだった。「美味しいのに食べないともったいない。まずは美味しさを知ってもらおう」その思いを形にしたのが「愛deer料理教室」。現在、毎月第4火曜日開催の「シカ肉を食べる会」をはじめ、各地で料理教室を開催し、シカを取り巻く現況を伝えつつシカ肉料理を広める活動をしている。

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