CEL編集室
2014年11月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2014年11月01日 |
CEL編集室 |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.108) |
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CELが注目する、これからの食を考えるための6つの視点
いま、日本の食は急速な変化を遂げつつある。家庭食の多様性には陰りが見え、食技術の進歩による便利さ、健康と栄養に関する情報、食卓コミュニケーションの変化などが、現代的な話題として顕著になっている。まずは、ここに挙げる6つの視点から、日本の食が抱える、いまと未来の「あたりまえ」の姿を考えてみよう。
日本の食は他国に類を見ない多様性を持っている。
地域ごとの食文化は非常に個性的であり、20年ほど前までは家庭においても和食のみならず、各国のさまざまな料理を取り入れ、豊かさを誇っていた。
しかし、社会・生活・経済の変化、例えば調理の外部化、個食(孤食)の増加、食情報の氾濫などに伴い、家庭の食の各機能に影響が及んでいる。便利にはなったものの多様性が損なわれつつあり、食卓でのコミュニケーションのあり方も変化している。健康や楽しみとの関係が注目される一方で、資源枯渇や食糧危機への関心も高まっている。
それらの変化の結果として、日本の食はどのような姿が一般的≒当たり前になっていくのであろうか。そのような問題意識をもとにCELが注目する視点をいくつかにまとめた。すなわち「食の楽しみ」「食の多様性」「食のシーン」「食の効率化」「食でつながる社会」「食で実現する健康」の6つである。
これらは積極的に評価できる面と懸念される面、両方を持っている。したがって、明日の食の「あたりまえ」がどうなるかは、これらのよい側面がよりいっそう充実するのか、むしろ懸念材料が深刻化するのかに大きく左右される。そこで本パートでは各視点の持つ意味と、CELの考える望ましい方向性を最初に整理・提案する。そのうえで、次パートからはいくつかのポイントに焦点を当て、論文、インタビュー、鼎談などを通してより深く考えていきたい。それが最終的に明日の食の「あたりまえ」を展望する結果になるのだと考えている。