三浦 展
2014年11月01日作成年月日 |
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2014年11月01日 |
三浦 展 |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.108) |
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高度経済成長期が終わり、核家族化・少子化が言われるようになって久しい。家族形態やライフスタイルが変わりゆくいま、私たちは何を、どのように食べているのだろうか?家族・単身世帯対象のマーケティング・リサーチ結果の分析をもとに、現代日本における食の諸相を捉え、これからの課題を提起する。
社会デザイン研究家 三浦展氏に聞く日本の食のいまとこれから 「孤食」から「共食」へ
まず、Q2「ふだん朝食を食べていますか?」の、若い一人暮らしが朝食を食べていないというデータは特段珍しくはないですが、注目するのは60代ですね。
20代・30代よりマシとはいえ、60代一人暮らし男性は66%弱しか朝食を食べていない。3割以上が食べていないというのは、これまでの60代像とは違う。いまの60代は若いときのライフスタイルを引きずっている気がしますね。
そもそもいまの60代は10年前の60代よりも未婚、離別などで一人暮らしが増えているんです。だから一人暮らし高齢者の食生活を今後もっと調べないといけない。
また、Q3「朝食・昼食・夕食の内食・外食の割合は?」とQ7「どういった理由で外食しますか?」を見ると一人暮らしの男性は外食が多いにもかかわらず、家族や友人などと一緒に食べている人が少ないという結果が出ている。ひとりで食べる、いわゆる「孤食」が多い。たしかに最近ファストフードで食べる高齢者を見かけることが増えました。
これからは中高年の一人暮らしが非常に増えます。65歳以上の一人暮らしは2010年から35年で264万世帯、45歳以上だと372万人増えるのです。放っておくと、食生活の質が低下し、ひいては生活全体の質が低下し、健康も悪化する危険があります。
彼らの生活の質を高めるうえでは、食の果たす役割は重要です。誰かと一緒に食べる=「共食」こそが、今後重要になると私は考えます。一緒に食べることは、コミュニティを形成するうえでの基本です。「共食」という行為自体が、そのまま「ソーシャルキャピタル」(社会関係資本)になると言っていい。