山崎 栄一
2014年11月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2014年11月01日 |
山崎 栄一 |
都市・コミュニティ |
都市居住 |
情報誌CEL (Vol.108) |
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本講座第3回では、法学の視点から「減災」のあり方について論じてみることにする。現在、国会において制定された法律は2000近くあるといわれており、減災に関わっている法律も相当数に及ぶと思われるが、今回は、その中から「災害対策基本法」に注目し、減災に向けた諸問題が、法的にどのように位置づけられ、解決の糸口が示されているのかを考察する。
「災害対策基本法」と減災
前号の「減災講座」(『CEL』107号54〜57、58〜61頁)において、この講座が「災害へのしなやかな対応力・回復力“レジリエンス”を持った暮らし・地域・社会を目指」すものであること(*1)、レジリエンスを高めていくためには、共助“Save Ourselves”の基盤の充実化(*2)や、コミュニティにおける議論(*3)が不可欠であることが分かってきました。
そこで、「レジリエンス」「共助」「コミュニティ」といった、減災にとって重要なキーワードを包摂できるような法制度として、「災害対策基本法」(以下、「災対法」)を紹介してみたいと思います。
災対法は、1959年に起こった伊勢湾台風を契機に1962年に制定された法律です。この法律は、阪神・淡路大震災後に大改正を経た後、東日本大震災を教訓に、2012年と2013年に、さらなる大改正がなされました。以下で解説をする項目の多くは、東日本大震災後に法改正により追加されたものです。
共助・コミュニティの法的位置づけ
災対法には、共助・コミュニティに関するいくつかの条文が散見されます。東日本大震災では、公助の限界が露呈され、災対法において共助・コミュニティが積極的に位置づけられるようになりました。
災対法2条の2第2号には、災害対策の基本理念として、「……住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織(住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織をいう。以下同じ。)その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること。」を挙げています。加えて、「自主防災組織を構成する者」は、都道府県や市町村の防災会議の委員として参与できるようになっており(災対法15条5項8号・16条6項)、自主防災組織の法的な位置づけの高さを物語っております。
(*1) Vol. 1(弘本由香里執筆)『CEL』107号55頁
(*2) Vol. 1(弘本由香里執筆)『CEL』107号57頁
(*3) Vol. 2(永松伸吾執筆)『CEL』107号61頁