CEL編集室
2015年11月02日作成年月日 |
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2015年11月02日 |
CEL編集室 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.111) |
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日本では4人に1人が75歳以上になるという「2025年問題」も迫るなか、スマート化は超高齢社会の到来にいかに対処しうるのだろうか。介護の現場では、科学技術の英知を結集したロボットの導入が進む一方で、地方のコミュニティにおける人々の絆を見守りにつなげるという試みも始まっている。現場に従事する担当者にそれぞれお話を伺った。
Case1 コミュニケーションロボットの活用
「おはようございます。体調はいかがですか」
「今日はお出かけ日和ですね。朝食後、お薬を飲みましたか?」
手や首を動かしながら、かわいらしい声でそう話しかけてくるのはロボットの「Sota®(ソータ)」(*)。机の上に乗る大きさのこのロボットは、すぐそばのベッドにいる高齢者に話しかけ、その人の答えからキーワードを拾って対話をする。まさに、私たちが子どもの頃に思い描いていた未来が現実となったような暮らしがそこにある。
このコミュニケーションロボットを使った「高齢者支援サービス」の実用化に向けた実証実験が、2015年の3月末から5月末まで、社会福祉法人東京聖新会が運営する東京都西東京市の特別養護老人ホームで行われた。目の前に現れた「未来」をお年寄りはどう受け止めたのだろうか。このロボットを使った高齢者支援サービスのシステムを開発した、(株)NTTデータ技術開発本部・ロボティクスインテグレーション推進室課長の武田光平さんが話す。
「実験の結果、高齢者の方もロボットに話しかけてくれ、ロボットのいる環境に順応してくれることが分かりました。104歳という高齢の方にも、『文明の世の中ですね』と素直に受け入れていただいた。最終日に持って帰るときには、『もう帰っちゃうの』と言う方もいたくらいです」
高齢者に安心感も抱かせるこのロボットは離床センサーや人感センサーと連動し、高齢者がベッドから離れたり、ロボットの前を通ったりするとその動きを感知。高齢者の現在の状況を把握する。高齢者がトイレでベッドを離れたのなら問題はないが、ベッドから落ちてしまったのなら、助けが必要になる。そこで、このロボットは、夜中でも高齢者が起き上がるとその動きを感知して、「トイレですか」などの声かけをして、状況を確認する。
(*)「Sota」はヴイストン(株)の登録商標(第5788406号)です。