豊田 尚吾
2015年11月02日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2015年11月02日 |
豊田 尚吾 |
住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.111) |
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社会を構成する最小単位は、ひとりひとりの「生活者」であり、その姿を知ることは、社会を知ることにも通じる。本連載では、「生活者」の意識や行動を測定したデータの様々な分析をもとに、現代の生活者の多様な姿に迫る。第一回は、生活者の消費行動や問題意識が、食や地域・社会とのつながりにどのような影響を与えているのかを見る。
はじめに
「生活者」は企業や政府などと同様に、社会における重要なプレーヤーである。本連載では、「生活者」の意識や行動を継続的に測定したデータ(*)の分析を行い、その実態を把握するとともに、様々な問題意識に基づいて仮説の提案や検証などを行う。それらを通じて現在の生活者の多様な姿を探索することを目的としている。
今後数回にわたり、テーマを設定して検討を行っていくが、今回は「生活者の基本的な意識と行動」に関して、食事や社会とのつながり、そして幸せの捉え方などについて探っていく。
その1 食事時間と食事に対する満足度には関係がある
食事は生活の基本であり、食生活の充足感はよい暮らし(ウェルビーイング)に直結すると予想される。では食生活の充足感は何によってもたらされるのであろうか。何を食べるか、誰と食べるかなどいろいろな切り口があるが、ここでは、食事にかける時間という視点で食生活に対する満足度を見ることとする。
まず「1日あたり、食事時間(1日3食合計して)にどのくらいの時間を費やすか」という質問に対する回答結果(Chart 1-1)を見ると、8割以上の回答が「2時間未満」に集中している。では食事時間と食生活に対する満足度に関係はあるのだろうか。食事は生活の中の楽しみであり、時間をかけたほうが満足度は高くなるのではないかと予想できる。そこで、食事の満足度(「非常に満足」から「非常に不満」まで5段階)を聞いたデータとあわせて図を作成した(Chart 1-2)。
これを見ると、食生活の不満度が高いグループ(「不満」+「非常に不満」)では、1日の食事時間が「10分未満」および「10分以上〜1時間未満」と回答する人の割合が相対的に大きいことがわかる。
(*)大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所によるネットアンケート調査「ライフスタイルに関するアンケート」の結果を利用。調査主体は(株)マクロミル。2005年から毎年行われ、2015年2月23〜27日に11回目の調査を実施。第1回(2005年)は約1000人を対象としたが、第11回(2015年)では約5000人を対象とした。