リチャード
池永 寛明
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2018年11月01日 |
リチャード |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.120) |
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長らく続いた「世界の工場」の時代を経て、いまや世界をリードする「ものづくり大国」として躍進を遂げる中国。なかでも注目すべきは経済特区・深センだが、そのまちの革新を生む力はどこからくるのか。次世代のスタートアップ企業として現地でも注目されるエレクロウ(Elecrow)とドゥボット(Dobot)、日本人で自らも起業し深センのエコシステムを知り尽くした藤岡淳一氏(JENESIS)、そして、ものづくりの担い手たち=メイカーをサポートするx.factory と高須正和氏(スイッチサイエンス)を深センに訪ね、それぞれお話を伺った。
深センで成功できるのはほんの一握りだけ
池永:中長期で日本の社会がどう変わっていくのか、どうあるべきか? それが私たち研究所の課題であり、これまでそうした取り組みを進め、日本を再起動するために「ルネッセ」と名付けた活動を展開してきました。前号は「ルネッセ」実践編の第1号として、デンマークのデザインスクールやオランダを訪れ、技術と社会をつなげる文化の役割について議論しました。日本社会は今、ものづくりの力を急速に失いつつありますが、その背景にあるのは経済や技術の問題だけではないと考えているのです。とりわけ、ものづくりのスピード、創新(イノベーション)という点で、深センには学ぶべき点が多くあると考えてやってまいりました。
リチャード:かつての中国は、日本のスピードやものづくりの才能を羨ましく思っていたものです。それでも、「メイド・イン・ジャパン」というブランドは今も世界的に力をもっているのではないでしょうか?
池永:世界におけるものづくりの基本潮流が変わったのでは、と考えずにはいられません。たとえば日本の製造業はユーザーが求めていない機能を含め、性能を足し算しすぎたという面があるのではないでしょうか。深センで成功できるのはほんの一握りだけエレクロウは世界中のユーザーから基板の作成や実装を広く請け負っておられます。日本にも、高品質な基板を小ロットでもスピーディにつくってくれるエレクロウを愛用するユーザーが多いとお聞きしました。そうしたスピードは、やはり深センだからこそ可能だったのでしょうか?