CEL編集室
2018年11月01日作成年月日 |
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2018年11月01日 |
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情報誌CEL (Vol.120) |
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ロボットの未来を見据える深センの起業家たち
多くの新興企業が集まる南山区では、今も高層ビルの建設ラッシュが続いている。2016年の国際特許出願件数で、深センは中国全土の約半分を占めた(1万9648件)。そのなかでも、南山区の出願数は1万389件にものぼる。巨大なツインタワーの新社屋をここに築いた中国ネットサービス大手のテンセントをはじめ、ZTEやファーウェイといった通信機器メーカー、商用ドローンの最大手であるDJIなどが拠点を構えていると聞けば、それも頷ける。
しかし、それだけではない。有名企業の成功を追うように、深センでは大小さまざまなスタートアップ企業がつぎつぎと生まれ、新しい技術や製品の開発に挑戦している。ここにいると、電子決済や無人コンビニのような新しいサービス、ドローンやロボット、3Dプリンタ、VR(仮想現実)といったものはもはや日常の光景と思えてくる。
なかでも、深センのロボティクス産業はその規模が1兆円を超えるともいわれ、400もの企業がしのぎを削る最も競争の激しい分野のひとつだ。同じ南山区でも摩天楼がそびえ立つ中心部からは少し離れた北側に、小型のロボットアームによって新しい時代を拓こうとする小さな企業があると聞き、訪ねることにした。
「ドゥボットは小さな4軸のロボットアームですが、精度はひじょうに高いです。このように、筆をとりつけることで書道が実現できるほどです」
すらすらと筆を操る自社製品を誇らしげに披露してくれたのは、ドゥボットで海外セールスを統括するグレース・ガオ(GraceGao)氏。「社員の平均年齢は27〜28歳です。スタッフ60名ほどの小さな企業ですが、製品はすでに100カ国で販売されています。教育やホビーとしての活用はもちろん、工場やビジネスでの活用も進んでいます」
蘇州の中国科学院分院の卒業生である創業者ら5人の技術者が小型ロボットアームのプロジェクトをスタートしたのが2012年のこと。2015年には早くも世界最大のファンディングプラットフォームであるキックスターターを通し、最初のDobot Magicianを実現。同年に企業としてのドゥボットをスタートさせた。2017年にはさらに精度の高い作業を可能にしたDobotM1も発売している。