情報誌CEL
「ルネッセ」を総括する
−つながる「ルネッセ」 未来にむけて文化を伝える活動
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2019年03月01日
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CEL編集室 |
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情報誌CEL
(Vol.121) |
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日本の文化を学び、育み、未来へつなげていくため、情報誌『CEL』での取材やイベントを通じて、その理論や方法論を真剣に考える方々に出会った。その交流のなかで「ルネッセ」の考え方に共鳴し、自身の活動に役立ててくれた人も多くいる。そうした方々の声を紹介する。
無理をしないで文化を継承する道を探す
[気仙沼市地域福祉計画推進委員]吉田千春
CELの方たちと知り合ったのは、情報誌『CEL』116号で谷直樹さんと三浦史朗さんの対談が気仙沼で行われたとき。案内役として現地をめぐりながら、気仙沼の現状や漁業をめぐる産業構造の仕組み、生活文化などについてお話ししました。これをきっかけに交流が始まり、気仙沼の復興とまちづくりをテーマに行われたルネッセ・セミナーで講師を務めました。
私が生まれ育った鹿折地域は、東日本大震災で街全体が火事にさらされ、気仙沼の中でも最も被害が大きかった場所です。主要産業の漁業を中心に復興は進められてきましたが、人口減少と高齢化が進んでいるなかで、地域をどう維持し、育てていくかが現在の課題になっています。そこで私が行ってきた支援活動は、アクティブシニアの女性を中心にした「手仕事づくり」です。手仕事を覚えてもらい、それを覚えた人が誰かに教えていく仕組みをつくりながらネットワークを育み、地域のコミュニティ機能を回復しようと模索しています。
でも、いったん土地や人のつながりが崩れてしまった環境で、地域特有の食文化や行事などを存続することは難しくなっています。伝統を残さずして、地域が復興したと言えるのかという疑問はもちろんあります。しかし、伝統だからといって、すべてをそのままの形で残そうとするのは正しいやり方だと思いません。そのままの形ではなくとも、現在の生活のなかで続けられる方法を考えながら受け継いでいくことが、適切なプロセスではないかと思います。
復興やまちづくりというのは、どうしても皆が納得する正しい道に進もうと肩に力が入りがちです。でも、無理をせず自分たちに合った方法を見つければいいんだと考えられるようになったのは、池永所長からさまざまなまちづくりのあり方や考え方を聞いたおかげかもしれません。地域の歴史や文化を知り、その本質を掘り起こして、現代、未来への新しい価値をつくろうという「ルネッセ」の考え方は、これからのまちづくり、地域づくりを考えるうえで、大事なことだと思います。