友澤 孝規
2020年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2020年03月01日 |
友澤 孝規 |
エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
情報誌CEL (Vol.124) |
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デジタル化の波に直面するエネルギー業界
デジタル系企業によるエネルギー業界への進出が話題を呼んでいるが、今後ますますその動きは加速することが予想される。
エネルギーとデジタルというまったく異なる分野を、どのようにつなぎ、どのように進化させていけばよいのだろうか。
その鍵となりうる現状の動きと、有効な取り組みや仕組みづくりについて考察する。
はじめに
――デジタル系企業の3つの動き
GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)に代表されるデジタル系の企業が異業種分野への進出を加速するなか、エネルギー業界においてもその動きの活発化が見られる。大量の電力を消費するデータセンターの建設に向けて再生可能エネルギーの調達が進むといった①「エネルギー業界における需要家」としての動きはもちろん、デジタル技術を駆使したエネルギー使用の効率化やエネルギー設備メンテナンスの高度化を支える②「エネルギー業界におけるサポーター」としての動きや、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)・蓄電池、コージェネレーションなどの分散型リソースをデジタル技術で統合的に制御して供給するといった③「エネルギー業界における供給者」としての動きも見られる。これらの動きを踏まえつつ、デジタル化の波を活かすためには、データの活用が鍵となる。
国もその動きに呼応した環境整備に乗り出しており、マクロレベルではデジタル化による更なるレジリエンス強化やCO2削減、エネルギーコストの抑制などに力を入れつつあるが、産業レベルでは活発化する競争のなかで「異なるものをつなぐ」ことによるエネルギーにとどまらない、新しいサービスの創出が期待されている。
①「エネルギー業界における需要家」としての動き
「エネルギー業界における需要家」としてのGAFAをはじめとしたデジタル系の企業は、電力を大量に消費するデータセンターへの大規模な投資をすることにより、エネルギーの需要やそれに紐づく供給に対して大きなインパクトをもたらしている。第4次産業革命とも言われるデジタル化の大きな波に終わりが見えないなかで、IoTデバイスの更なる普及などとともに膨大化するデータを処理していくために、データセンターへの投資もますます進む様相を呈している。