橋本 浩和
山倉 あゆみ
作成年月日 |
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2021年07月01日 |
橋本 浩和 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.128) |
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住まいを取り巻く環境が大きく変わろうとしている現代。ハード面としての「住まいのかたち」のみならず、血縁でつながった者が家族として共に生活するという従来当たり前とされてきた「暮らしのかたち」にも変化がおきつつある。
一般社団法人Ciftは、「拡張家族」というコンセプトのもと、多様な人々が共同で暮らしながらひとつの「社会実験」をしているという。Ciftにとって関西初の拠点となる「京都下鴨修学館」の事例を通して、その取り組みを紹介する。
京都市左京区下鴨の住宅街の一角、疎水べりの角地にコンセプト型シェアハウス「京都下鴨修学館」はある。道路に沿ってV字型にのびた建物とその中央にあるエントランスの佇まいも含めて、どこか懐かしい雰囲気が漂う建物だ。
「1970年、親元を離れて学校に通う女子学生が安心して住めるようにという先代オーナーの思いから建てられた女子学生寮でした。
2020年に全面改修しましたが、外観は当時の佇まいを残すようにしました」と話すのは、改修に携わった(株)フラットエージェンシー・プロパティマネジメント部部長の橋本浩和氏。同社は京都を拠点とした不動産仲介・管理業者としてさまざまな大学などと提携し、多くの学生に住まいを紹介してきた。この修学館のオーナーとも長年にわたるおつきあいだという。
中に入ると、屋内なのに風が心地よく通りすぎるのを感じた。目の前には広々とした廊下と光が射しこむ明るい空間が広がっている。50年の歴史を刻む建物の重厚感が漂いつつも開放感あふれる玄関では、Ciftのメンバーである山倉あゆみ氏が笑顔で待ってくれていた。山倉氏は食農プランナーとしてコンサルティング事業を本業としながら、Ciftのコミュニティマネージャーとして「京都下鴨修学館」の立ち上げの中心となった人物である。
建物を一見する限りは、家を共同で使用する一般的なシェアハウスの造りとなんら変わりがない。しかし「京都下鴨修学館」はコンセプト型とある通り、少し性格が異なっている。ここはCiftの掲げる「拡張家族」というコンセプトを共有したメンバーと、そのコンセプトに賛同する一般の居住者が、共に暮らしながら、新しい家族のあり方を模索する「社会実験の場」でもあるのだ。
「拡張家族」とは? 「社会実験」とは? 橋本氏、山倉氏のおふたりにCiftのこと、修学館を拠点とした経緯や建物の改修について、さらには実際に入居者を迎えてからのことなど、お話を伺った。