大阪ガスネットワーク

エネルギー・文化研究

  • サイトマップ
  • お問い合わせ

CELは、Daigasグループが将来にわたり社会のお役に立つ存在であり続けることができるように研究を続けています。

  • DaigasGroup

JP/EN

論文・レポート検索

Search

情報誌CEL

わかぎ ゑふ

2021年07月01日

街の魅力

作成年月日

執筆者名

研究領域

カテゴリー

媒体(Vol.)

備考

2021年07月01日

わかぎ ゑふ

都市・コミュニティ
住まい・生活

都市居住
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.128)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

1981年から5年ほど東京に住んでいた。20代前半の頃である。芝居の勉強のために上京して、そのまま劇団を作ったり、就職したり、同棲したりしていたのだ。しかしどれもうまく行かず1985年に帰阪したのだった。
26歳の夏だった。彼氏と別れ、芝居にも疲れ、もう若くもないし(と思っていたが、まだまだ若造であった)ともかくちょっとほころびを抱えて帰って来たのだ。
ところが実家の母に連絡すると「帰ってこんといて、来年の春まであんたの部屋ないで。人に貸してるねん」と言うではないか。古いアパートを経営していた母はなんと私の部屋を勝手に貸していたのだ。
ただでさえ凹んでいたのに「帰るところもないか」という追い打ちで私は本当にボロボロだった。
運良く昔のバイト先の友達が「うちにしばらく住んでもええよ」と言ってくれたので、転がり込むことになり、実家にも寄らず彼女と梅田で待ち合わせをすることになった。
それまでの約5年間、お正月に帰ったりしていたが、3、4日だったし、昔の友達の家に行くくらいで、街の様子なんか知らないままだった。今思えば頭の中がすっかり東京ナイズされていたのだろう。
そんな私の目に飛び込んできたのは、梅田の地下街で歌って踊っている人たちだった。「え?なにこれ…なにしてるこの人たち」とキョトンとして見ていたら、友達がやってきた。
「あれなに?」と聞く私に彼女は「阪神ファンやん」と素っ気なく答え、喫茶店に入って行ったのだった。そう、1985年と言えば阪神タイガースが21年ぶりに優勝した年だった。私はあの異常な状態の大阪に舞い戻ってしまったのだ。それから「大阪ってこんなとこやったっけ?」と、大阪を再確認する生活が始まった。
街では阪神のユニフォームを着て歩いてる人に「今日どうやった?」と見知らぬ人が平気で声をかける。それに対して「4対3で勝ったで」とみんな当たり前に答える。最初は「通りすがりに、他人に声かけてる〜」とドキドキしたものだった。
友達とミナミの居酒屋に入ってたら隣のオジさんが「姉ちゃんら、これ食べるか?頼みすぎてん」と串カツを分けてくれた日もあった。「なんで?なんでなん?」と叫びそうになった。
就職した会社の課長がかかってきた電話に「毎度、いやぁ、ぼちぼちですわ」と大きな声で挨拶しているのを聞いて「毎度って言うた!ぼちぼちですわってほんまに言う人居るんや」と驚いたこともある。
信号を渡っただけなのに知らないお兄さんから「飴ちゃん食べる?」といきなりキャンディを手渡されたこともあった。「なにここ?こんなとこなん大阪って???」と走り回りそうになった。

  • U−CoRo
  • 語りべシアター
  • 都市魅力研究室
  • OMS戯曲賞
Informational Magazine CEL

情報誌CEL

【特集】場づくりのその先へ −つながりから社会を変えていく

近年、まちづくりにおいて「場づくり」が注目されています。 その試みは、時に単なる...

バックナンバーを見る
  • 論文・レポート・キーワード検索
  • 書籍・出版
  • 都市魅力研究室
  • FACEBOOK

大阪ガスネットワーク(株)
CEL エネルギー・文化研究所

〒541-0046
大阪市中央区平野町4丁目1番2号

アクセス