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情報誌CEL

池永 寛明

2021年11月01日

私たちが考える万博 第8回 今あらためて「万博のあり方」を考える

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2021年11月01日

池永 寛明

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン
地域活性化
まちづくり

情報誌CEL (Vol.129)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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コロナ禍を戦後システムの「グレートリセット」と位置付け、世界は新たな道を歩み始めている。コロナ禍を一過性のものと考えるのではなく、日本も新しい社会のあり方を模索するべきではないだろうか。「過去に学び、未来へとつなぐ」。日本らしくて新しい生活のスタイルを大阪・関西万博で発信するために、その根本となる考え方を振り返りました。

「コロナ禍リセット後の万博」であることを忘れてはいけない

先日、大阪・関西万博の出展参加説明会がありました。オンラインで開催され、2100を超える企業・団体から約4200人が参加したようです。と言うと2025年の開催に向けた歩みは着実に進んでいますが、その一方で「万博どころではないのでは」という空気、特に経済的な見通しの立たなさからくる懸念が社会に流れてもいます。コロナ禍後の万博について、私は以前より開催すべきだとお伝えしています。2020年以来長く続くコロナ禍のもと、先の見えない不安は未だに続いています。そういう状況下であるからこそ、前号でとりあげた大大阪記念博覧会のように、先行き不透明な社会の導きとなるような万博とすべきです。

コロナ禍のなかで違和感を覚えることがあります。コロナ禍で大きな影響を受けているにもかかわらず、万博の検討だけではなく企業で議論されるコロナ禍後の戦略が、ともすればコロナ禍前に戻り、「これからの社会はDXだCXだ」といったような技術偏重となっています。これも繰り返しお話ししていることですが、コロナ禍は明治維新、第二次世界大戦後に続く近代以降3度目の大断層(リセット)です。社会システムが大きく転換する時期です。それなのに、未だにリセット前と同じ視点、発想で考えているのです。

世界がコロナ禍を戦後システムの「グレートリセット」と位置付けて大きく動き出しているのに対して、まだまだ日本では「一過性のものであり、収束すれば元に戻る」と考えている人が多いためでしょう。コロナ禍後であっても「新たな技術が社会・生活をどう変えるのか」という立脚点から離れることはありません。本来は「こういう社会・生活を実現するために、どのような技術をどう使うのか」と考えるべきなのに、むしろ技術と社会のつながりがどんどん離れていることに疑問を感じています。

コロナが収束してもコロナ禍前の社会に戻ることはありません。「以前通り」ではなく、コロナ禍後という社会システムの転換期に開催するという、「以前通りではない」万博であることを忘れてはいけません。

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