大野 誠一
2022年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2022年03月01日 |
大野 誠一 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.130) |
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「人生100年時代」といわれる超長寿時代を迎え、日本人の生き方・働き方のアップデートが求められている。
「教育→仕事→引退」という「3ステージ型」人生モデルから「マルチステージ型」人生モデルへの転換こそがその方向性だ。
では、マルチステージ型の人生とは、どのようなライフデザインのことをいい、
また、それを実践するにはどのようなマインドセットが求められているのだろうか。
「ライフシフトの法則」をフレームワークに、超長寿時代を自ら切り開いて生きるためのヒントを探る。
確実にやってくる未来、「人生100年時代」
リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの共著『LIFE SHIFT〜100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社刊)が日本で出版されたのは2016年10月。近年のベストセラーの中でも、この本ほど、その後、多くの書籍やメディアで引用された本はないだろう。原書タイトル(“The 100-Year Life”)でもある「人生100年時代」という言葉は、この本をきっかけに急速に社会に浸透し、今や誰もが知る言葉となった。しかし『LIFE SHIFT』が投げ掛けた超長寿時代の生き方・働き方に関する本質的な指摘に対し、私たちの意識や行動がどの程度変わったかと考えると、その変化は、まだ始まったばかりというのが実態ではないだろうか?
メディアで「人生100年時代」という言葉を目にする時、それは資産運用のための金融商品や不動産投資の広告だったりすることも多い。人生が長くなっていくにあたって、こうした「有形資産」が大切であることはもちろんだが、『LIFE SHIFT』が問い掛けた本質的な課題は、「有形資産」よりもさらに大切になる「無形資産」に対する意識であり、「3ステージ型」から「マルチステージ型」に変わっていく、生き方・働き方の変革だったはずだ。
今回の論考では、『LIFE SHIFT』が提示した「マルチステージ型」人生モデルをキーワードに、ミドル・シニア層を中心とした「人生100年時代」の人生設計(ライフデザイン)について考えていこうと思う。
日本における「人生100年時代」の議論
『LIFE SHIFT』が話題になった当時、日本では、安倍政権が旗振り役となった「働き方改革」と「一億総活躍社会」というテーマが大きな議論を呼んでいた。