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情報誌CEL

湯澤 規子

2023年09月01日

大阪の胃袋 第8回 茅渟の海が生む名脇役  −大阪かまぼこ余話

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2023年09月01日

湯澤 規子

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情報誌CEL (Vol.133)

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かまぼこ百花繚乱

座布団を二つ並べた上に横になって昼寝をする母の後ろ姿を、かまぼこ板の裏に描いたことがある。それを愛媛県西予市立美術館が募集していた『全国「かまぼこ板の絵」展覧会』に送ってみたところ、かまぼこの詰め合わせが送られてきた。どうやら入選したようだと、大量のかまぼこを見て知った、というのは懐かしい思い出である。

かまぼこ板は大抵どこにでもある。だから、それをキャンバスに見立てれば、誰でも画家になれる。それで展覧会を開くこの美術館の着眼点は秀逸というほかない。と同時に、日本の各地には、じつに多彩なかまぼこの特産品とその歴史があることに思い至る。愛媛のじゃこ天、仙台の笹かまぼこ、富山の昆布巻かまぼこ、小田原の小田原かまぼこ、関東のはんぺん、石川のカニ風味かまぼこと、枚挙にいとまがない。百花繚乱の多彩さは、漁場と四季によって多種多様な魚が水揚げされる、日本の漁業の特徴そのものでもあるのだろう。

大阪ではお馴染みの練り物を揚げた「てんぷら」があり、それともう一つ、板付きかまぼことしての「焼やき板いた」がある。焼板は、板の上に載った生地が茶色く焼かれたかまぼこで、歯ごたえのある焼き目が香ばしくて美味しい。他の地域では材料にスケトウダラやサメ、カレイなどが用いられることが多い中、大阪ではハモが含まれているところも特筆すべきだろうか。魚が豊富な「茅渟の海」と呼ばれる大阪湾で、とりわけ多く水揚げされるのがハモだった[*1]。大阪は原料魚に恵まれているという利点があったわけである。


焼板と大阪

焼板は関東の売り場には滅多に置かれていない。大阪から関東へ越してきた母は、暮れ近くになると毎年この時だけ関東の店頭にも並ぶ焼板を買いに出かける。焼板がないと始まらない、と言わんばかりに年一回の楽しみを買い求めるのである。大阪に暮らす祖父は年末になると難波へ足を運び、大きな板の焼板をたくさん買ってくるのが常だった。ところが今回、大阪に暮らす知人にその話をしてみると、焼板という呼び名を知っている人が少ないことに気がついた。我が家の好みなのか、時代の流れなのか、かまぼこも変化しているのだろう。


*1 井上理律子・団田芳子『大阪名物なにわみやげ』創元社、2012年、29頁。

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