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情報誌CEL

弘本 由香里

2024年09月01日

再見 上町台地 今昔タイムズ 第1回 災害と福祉に見る"共"の知の継承と文化

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2024年09月01日

弘本 由香里

都市・コミュニティ
住まい・生活

コミュニティ・デザイン
地域活性化
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.135)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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歴史都市・大阪の背骨に当たる上町台地をフィールドに、2013年秋から2024年春にかけて、約10年にわたり20号を編集・発行した『上町台地 今昔タイムズ』。過去との対話を通し、現在を見つめ直し、未来へつなぐ歴史実践として、改めて共有したい観点を取り上げてレビューする。

はじめに ―過去と現在の終わりのない対話から―

「過去は現在の光に照らされて初めて知覚できるようになり、現在は過去の光に照らされて初めて十分理解できるようになるのです」「歴史とは、現在と過去のあいだの終わりのない対話なのです」。いずれも、イギリスの歴史家、E・H・カー(1892 −1982)による名講義をもとにした著書『歴史とは何か』に記されている名言だ。原著が世に出た翌年の1962年には日本語版が出版されている。その後60年を経て、2022年に日本語訳新版が岩波書店から出版され、再びE・H・カーの名言を目にする機会が増えた。
今、先が見通せない世界情勢や、異次元の技術革新や環境変動を背景に、長い射程で歴史を捉え、自らの立ち位置や行く先を考えようとする多くの読者層が、同書に関心を寄せている。過去と現在の間の終わりのない対話は、一部の専門家だけが独占するものではない。混迷する時代にあって、自らの暮らしと歴史の相互関係を、ポジティブな側面からもネガディブな側面からも不断に問い直す、広い視野や豊かな感受性が一人ひとりに求められている近年、歴史教育や社会教育をはじめ、まちづくりや文化活動など幅広い話題の中で、しばしば登場する用語の一つに「歴史実践(doing histoty)」という言葉がある。その意味を、広義に積極的に捉えれば、専門性にかかわらず、さまざまな方法で過去との対話を行うことによって、よりよい暮らしや生き方を創造していくプロセスそのものである。
筆者は、歴史都市・大阪の始まりの地であり、都心部を南北に貫く上町台地界隈をフィールドに、コミュニティ・デザインに関わる実践研究に取り組んでいるが、その一環で『上町台地 今昔タイムズ』[*1] というコミュニケーションツールを編集・発行してきた。

[*1]『上町台地 今昔タイムズ』のバックナンバーは、大阪ガスネットワーク(株)エネルギー・文化研究所のホームページで公開している。https://www.og-cel.jp/project/ucoro/event2_kon.html

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