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情報誌CEL

前田 章雄

2024年09月01日

豊かな発想を育むには − 「議論の場」の大切さ

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媒体(Vol.)

備考

2024年09月01日

前田 章雄

エネルギー・環境

地球環境
エネルギー・ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.135)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

大学講義や学会講演等の機会に、エネルギーに関する話題提供を行っている。そうした活動を通して、聴講者の発言から学ぶことも多くある。私の経験をもとに、「議論の場」を活性化する豊かな発想が育まれるポイントについて述べてみたい。


エネルギー講義で心掛けていること

まずは、講義や講演活動での私のスタンスを述べておきたい。
カーボンニュートラルの実現にむけた活動を推進しながらも、私たちは今まさに化石燃料に依存した生活を送っている。そこからどのように脱却するのかが問われているわけではあるが、一足飛びに新しい生活パターンへ移れるものではない。現在の生活を守りながら、いかにスムーズに新しい未来を生み出していけるのか。
「今日の安心を守り、未来の日常を創る」
新しい技術や取り組みを議論しながらも、足元の現実も決しておろそかにしてはいけない。そのためにも、エネルギー源の枠にとらわれない多角的な視点で考える必要性があると考えている。
多角的な視点のたとえでは、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」が有名だ。地面を這う虫のように生活者に寄り添った視点が、発想の原点になければならない。エネルギーが現実の世界で、どのような使われ方をしているのか。どのような課題をもっているのか。
利用者の視点となる「虫の目」は必須だ。もちろん、虫にはアリもいればキリギリスもいて、多様な立場の人々が存在している。家庭用だけでなく業務用や産業用など、エネルギーの利用用途は幅広い。
一方で、上空から全体を俯瞰する鳥のような高い視座がなければ、偏った意見に陥る可能性が生じるだろう。世界の情勢や経済とエネルギーを関連づけて考える必要もある。
最後に、まっすぐ前を向いて泳ぐ魚のように、過去から現在、そして未来を一本の線で見通すことによって得られるブレない考え方。同じ過ちを繰り返さぬよう歴史を学び、歴史から未来を創造する力も必要だ。
こうした「虫の目」「鳥の目」「魚の目」が三位一体となりながら思考をより深めていく活動が何より大切なのではないかと考え、その一助となるべく、多角的な視点で見た情報発信を心掛けている。

多様な意見が生まれる「議論の場」

さて、講義や講演を行うと、「どうすればカーボンニュートラルが実現するのか、答えが欲しい」といった要求をされることがある。

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