秋山 シュン太郎
2025年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
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2025年03月01日 |
秋山 シュン太郎 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.136) |
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超高齢化時代に入った日本において、シニア期のウェルビーイングの向上は社会全体の課題となった。そして近年、文化芸術活動を通した健康促進、生きがいづくり、地域交流への寄与などにも期待が高まっている。25年以上の歴史を持つ、大阪発のシニアミュージカル劇団「発起塾」はその先進例ともいえる集団だ。「表現したい」「人生を楽しみたい」と歌やダンスに挑戦し舞台に立つシニアたちはエネルギーにあふれている。発起塾の取り組みを通し、舞台芸術がシニアのウェルビーイング向上に果たす役割をみていきたい。
2024年8月24日、ニューヨークにあるローズ・ナイジェルバーグ劇場で、日本のミュージカル劇団による英語ミュージカル『花のクッキー売り娘』が上演された。出演者は平均年齢65歳、最高齢75歳というシニア層19名。全員が50歳を過ぎてからミュージカルの稽古を始めた、演劇初心者の集団である。ミュージカルの街ニューヨークにあってもシニアばかりのミュージカルは珍しく、エネルギーに満ちた舞台は大盛況で幕を下ろした。ニューヨーカーを魅了したのは、1999年創設のシニアミュージカル劇団発起塾(NPO法人発起塾)である。
入塾条件は「50歳以上」であることのみ、「何もできなくていいんです!」という異色の劇団がなぜ生まれたのか。シニア層のウェルビーイングの向上に、演劇はどのような力を持つのか。脚本・演出家であり、発起塾代表の秋山シュン太郎さんにお話をうかがった。
何歳からが"シニア"? ――発起塾の誕生まで
――発起塾は、「50歳にならないと入れない」「あなたが主役」「100歳までミュージカル」というユニークな方針をお持ちです。このような劇団を立ち上げた背景や、きっかけをお聞かせください。
秋山 私はもともと役者でした。高校から演劇を始め、大学在学中に劇団の養成所に入り、学生のうちにプロになったんです。でも仕事がすぐにあるわけではなく、大手広告代理店と組んでミステリー企画や謎解き企画などを考えたりしていました。あるとき、何かおもしろい企画を考えてと言われて出したのが、中間管理職のおじさんを集めたミュージカルです。