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情報誌CEL

湯澤 規子

2025年03月01日

大阪の胃袋 第11回 粉もん甘いもん−なにわメリケン粉育ち

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2025年03月01日

湯澤 規子

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情報誌CEL (Vol.136)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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明日のパン

ゼミの四年生が「パン」で卒業論文を書いている。シンプルなテーマながら、それがなかなか面白い。そもそも、いったいいつから私たちはこんなに小麦粉に親しみ、パン好きになったのだろうか。
彼女はパンの東西比較にも言及する。それによると大阪の「おかん」は「明日のパン買わな」といつも気にしているのだという。言われてみればたしかに。しかし、普段気づかないような小さな日常の思考、行動の癖ではある。そういえば私は子どもの頃から朝ごはんはパンで育った。
パンには格別の思い出がある。それは私がまだ小学校低学年の頃のある日曜日の朝の出来事だった。姉に背中をつつかれて起きてみると、姉は私たち妹に「さぁ、着替えて。これからパンを買いに行くよ」と言う。寝ぼけながらのろのろと着替えて外に出ると、いつもはおっとりとしている姉が、颯爽と歩いていくのである。寝ぼけまなこ妹二人ついて行った先は、近所のよろず屋だった。まだ、コンビニというものが近所になかった1970年代のことである。「好きなパン、選んでいいよ」と姉が言う。「お姉ちゃん、お金持ってるの?」と気になりつつも、私は袋に入ったアンパンを選んだ。「お父さん、これが好きだからね」と姉はクリームが挟まれ真っ赤なチェリーがのっているパンを手に取った。代金を店のおばちゃんに手渡す姉の姿を見て、私は「お姉ちゃんって、スゴイ」と心の中でつぶやいた。それ以来、袋入りアンパンが私の好物となり、姉への尊敬は揺るがぬものとなったのである。
ところで、なぜパンだったのか。家族分の菓子パンを買ったのは、日曜の朝ぐらいは母をゆっくり寝かせてあげようと思ったからなのかもしれない。というのも、母が用意する朝ごはんはいつもパンだったからである。日曜日は食卓に子どもが起きてすぐ食べられる菓子パンやロールパンが「明日のパン」として置いてあることもあった。大人の都合に反して、私と妹が早起きしてテレビを見ていたからだろう。そんな出来事を思い出しながら、学生が記した「明日のパン買わな」という言葉の背景に想いを馳せてみたくなった。

パン食と粉もん文化をつなぐメリケン粉

早速母に聞いてみると、「そうやな、たしかにいつも、明日のパン、何にしよ、って思ってるワ」との返事。

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