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情報誌CEL

佐々木 秀彦

2024年09月01日

市民社会から社会を変える −「文化的コモンズ」が促す、新しい公共のかたち

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2024年09月01日

佐々木 秀彦

都市・コミュニティ
住まい・生活

コミュニティ・デザイン
地域活性化
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.135)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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ミュージアム、図書館、ホール、公民館等の文化施設は今、地域住民の拠りどころとして、また交流の場としての役割を担うことが求められている。この核心にあるのが「文化的コモンズ」である。文化を媒介として人びとを結びつけ、豊かな関係性を育む場としての文化施設の創出は、市民参加型の地域づくりや新たな社会像の構築に寄与しうるのだろうか。『文化的コモンズ 文化施設がつくる交響圏』を上梓した佐々木秀彦氏に見解を伺った。


――「文化的コモンズ」とは何か、なぜそれに注目されたのか、教えていただけますでしょうか?

佐々木 「文化的コモンズ」とは、地域社会において誰もが自由に参加できる文化活動の総体を指します。これは、文化施設、団体、商店街、教育機関など、多様な主体が相互に関わり合うことで形成される、地域固有の文化的な共有空間や活動のネットワークのことです。この考えは私のオリジナルではなく、東日本大震災を経て文化施設の役割を見直すため、一般財団法人地域創造が2014年と2016年に出した報告書[*1]の提言によるものです。これを読んだとき、大きな感銘を受けました。なぜなら文化施設を地域住民が共有するという発想から一歩踏みだし、場を通してつくられた関係性や文化そのものを「文化的コモンズ」と呼んでいたからです。
コモンには「共通の、公の、公共の」といった意味があり、日本で、山林や原野を集落の人びとで管理してきた「入い り会あ い地ち 」もそのひとつですね。

――これまで学芸員として、ミュージアムを支えるボランティアだけでなく、外部のさまざまな人びととの関わりを重視する仕事をされてきました。

佐々木 2000年の東京都の行政評価で「抜本的な見直し」の対象となり、閉園の危機にあった「江戸東京たてもの園」の再生に取り組んだ際にコミュニティやボランティアの力を借り、その可能性の大きさを感じました。


[*1]『災後における地域の公立文化施設の役割に関する調査研究報告書 ―文化的コモンズの形成に向けて―』(2014年)、『地域における文化・芸術活動を担う人材の育成等に関する調査研究報告書 ―文化的コモンズが、新時代の地域を創造する―』(2016年)

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