2008年11月4日
「嗚呼、道頓堀・心斎橋―街は劇場、ミュージアム」
「夫婦善哉考−織田作之助の世界」 リサイタルホールにて
朝日新聞社と大阪ガスエネルギー・文化研究所との共催公演、4回目。 この度は、応募者が、過去最高の1200名を越え、抽選のうえ、当日はリサイタルホールほぼ満席の約500名の方にご来場いただきました。 前回の春二楽章に引き続き、乙女文楽の吉田光華さん、パーカッションのクツノヒデユキさんを迎えて、さらなる演出効果の向上を目指しました。
第一部の「嗚呼、道頓堀・心斎橋」は、新作初演。これまでミナミをテーマにした作品がなかったので取り組んだのですが、あまりに題材が豊富なうえ、特に「モダニズム」「大大阪」といった視点での研究が既にかなりまとめられているため、まずはその勉学に時間を要し、さらに絞込みに苦心しました。結局、深堀りよりも入門編と位置づけることにし、お客様に馴染みのあるコンテンツを盛りこみ、まずは親しんでいただくことを目指しました。大大阪、芸能・芸術、近代画家といった視点からのアプローチでは、ミナミを舞台に複数の作品ができそうなほどエピソードがあり、また違う機会に新たな構成で紹介したいと思っています。演出面では、吉田光華さんに、洋装の人形で心斎橋のまち歩きを楽しむモダンガールを演じていただいたり、これまで、独立していたミニコンサートを、物語の中に織り込んだりと、工夫を重ねてみました。貴志康一作曲の「月」は、今回のメンバー構成用に音楽監督の宮川真由美さんが編曲しなおすことで、オリジナルに比べてより楽しめる音色になったのではないでしょうか。
第二部の「夫婦善哉考」は、全てを通して発表するのは3回目ですが、乙女文楽やパーカッションとの協演は今回初回。柳吉役の西村恵一氏(ヴァイオリニスト)が、舞台上手で話すという趣向も。乙女文楽には、蝶子と一枝の2役、特に文楽人形でのタンゴ「ラ・クンパルシータ」ではかなり盛り上げてくださいました。吉田光華さんは、日本舞踊だけでなく実は、社交ダンスも経験があるとのことで、ご本人も楽しまれたそうです。
今回、最後に、道頓堀「いづもや」の少年音楽隊出身の服部良一作曲「青い山脈」で、幕を下ろしました。手拍子とご唱和をいただき、ありがとうございました。また、特にリサイタルホールのスタッフの方々には、これまで大変お世話になりました。御礼申し上げます。
2008年4月
「大阪モダニズム物語」「新曽根崎心中考」 リサイタルホールにて
朝日新聞社と大阪ガスエネルギー・文化研究所の共催公演、3回目。
応募者600件以上の中から抽選させていただき、リサイタルホールほぼ満席の500名様にご来場頂きました。
今回は、乙女文楽の吉田光華さんと、パーカッションのクツノユキヒデさんを迎えて、さらに演出効果を向上させました。
「大阪モダニズム物語」は、秋の章のほぼ再演。しかし、プロローグの音楽を一新し、パーカッションが入ることで、秋よりはかなりバージョンアップしました。
ファッションショーも、出演者全員の登場で、人数も増えさらに当時の服装も楽しんでいただけたと考えています。(衣装提供は「東京衣装」)
「新曽根崎心中考」。かなり以前から、文楽人形とのコラボレーションを考えていたが、自由な発想でシナリオや現代音楽にもあわせて舞っていただける、吉田光華さんにはじめて共演をお願いしました。
乙女文楽は、通常3人で1体の人形を操る文楽とは異なり、女性一人で人形を扱います。吉田光華さんは、日本舞踊の名手でもあり、古典だけでなく現代のさまざまなジャンルの芸能とのコラボレーションを行ってきた方です。海外公演も少なくありません。今回は、幕開きにピアノと互いに即興・アドリブでの舞も披露していただきました。
「曽根崎心中考」という作品は、なにわの語り部活動のきっかけともなる作品ですが、初演から10年以上経っても、色あせない史実と物語性をもつようです。栗本ひとりの講演回数を含めると数え切れませんが、今回は改めて音楽を一新して上演し、人形による演出がくわわったため、これまでのものと雰囲気がかなり変わったのではないでしょうか。
人形の衣装を強調させるために、出演者は装いをモノクロに統一してみました。
リサイタルホールの照明、音響担当の方々は、かなりの職人技術を駆使してくださいました。特に今回は2回目なので要領を得てくださったのか、さらに遊び心を活かして美しい照明効果が実現。今年いっぱいでリサイタルホールが閉館するのは大変残念ですが、秋に再度、リサイタルホールでの公演を計画中です。