2011年2月22日
「大阪・キタものがたり〜曽根崎心中からキタヤードまで〜」
1972年10月に竣工した「大阪弥生会館」様が、日ごろサポートをしてもらっているという“大阪弥生会”や地域の自治体、北ヤード関係者に対して、感謝の意をこめて催し招待する宴の第一部として、周辺地域の歩みを紹介する、なにわの語りべ公演を上演しました。
(なお、弥生会館様は、1999年4月から、JR西日本グループ会社の株式会社ジェイアール西日本ウエルネット様が経営に当たっておられる関係で、国鉄・JR関係の貴重な資料をご提供いただき、こちらも大変嬉しく活用させていただきました。)
2011年2月14日
「サンケイホールブリーゼ大ホールにて」
産経新聞社ウエーブ産経推進本部と大阪ガスエネルギー・文化研究所の共催。
産経新聞社様とは昨年の大阪ガスビルでの公演に続いて、2回目の共催ですが、今回はより多くの皆様にお楽しみいただけるようにと、ブリーゼ大ホールで開催いたしました。
お申し込みは1300人を超える皆様にいただき、当日は大雪が降る天候の中、550人のお客様にお越しいただきました。お足元の悪い中、ありがとうございました。
第一部「梅田は西からやってきたーターミナル開発ものがたり」では、江戸期のキタ界わいの様相を古地図で解読し、明治に入り大阪駅が誕生してからの、駅前の発展史におけるエピソードをいくつか紹介しました。国鉄、阪急、阪神をはじめ電鉄会社各社が切磋琢磨しながら今日の梅田界わいをつくりあげてきたことを、昔の懐かしい写真をまじえながらお話ししました。そして、現在工事中で日々刻々とその姿を変えている、百貨店や大阪駅、北ヤードなど、近未来の梅田に期待される役割を、改めて歴史の流れの中で再認識していただく機会になれば、とメッセージを送りました。
続くミニコンサートでは、第一部で紹介した梅田の電鉄会社における、サウンドスケープを集めて作品にしたものをお披露目しました。
企画当初、「大阪サウンドスケープメドレー」をぜひ実現させたいと、電車の発着音や音楽、百貨店のBGM、大阪ならではの老舗の音楽や歌などコンテンツを集め、シナリオをつくってメドレーにできないかと、音楽監督の宮川真由美さんに相談していました。その中で、電車の発着音に各社特徴があり、誰もが耳にしたことはありながらあまり気に留めていないという点で面白いと、宮川さんが「電車ラプソディ in 大阪」として、各電鉄会社の発着音をモチーフにオリジナル曲を創ってしまった、というのが今回の作品です。
「大阪サウンドスケープー電車ラプソディ in大阪」
1.晴れの御堂筋線
2.サンキュー阪急
3.ハッピー阪神
4.Around The Osaka-40分間大阪一周
第二部「淀川ものがたりー治水翁大橋房太郎」は、ちょうど1年前、大阪ガスビルと綿業会館で上演した内容を練り直したものです。淀川の治水翁「大橋房太郎」の名前や功績が意外と知られていないこと、2010年が淀川治水100周年にあたるということと加えて、多くの情報や画像を入手することもできましたので、この作品制作に取り組みました。
今回は、ブリーゼ大ホールで上演することもあり、房太郎像をより浮き彫りにしたいと演出に工夫を凝らしました。房太郎役として西村恵一さんに、役者に徹していただくことで、内容をさらに楽しくわかりやすく伝えようと考えました。客席から登場する房太郎役の台詞に、「よう冷えますなあ、今年は大阪にも雪がよく降りましたなあ」という内容を用意していたのですが、その通りになってしまい、さらに西村さんにリクエストしていた時事的なニュースを交えたアドリブも、お客様の笑いを誘って、楽しい“掴み”になったと喜んでいます。
最後に、房太郎のひ孫にあたる中村扶美さんが作詞作曲された「澪―水都物語」を紹介しました。実はご本人の中村扶美さんから“歌わせていただけないでしょうか”との申し出を受けたため、最後に特別ゲストとしてご登場いただきその歌声を披露していただきました。
今回は、パーカッションに新たに池田安友子さんを迎え、ブリーゼホールのスタッフの方々が、特に音響照明にその技術を駆使してくださったので、より愉しんでご覧いただけたと思っております。出演者・スタッフの一人ひとりの思いやプロ意識、遊び心がコラボレーションして、語りべ公演がさらに進化したと感じております。
改めて、この活動の目的・趣旨につきましてご紹介させていただきます。
第1ステップとして、まずは大阪の歩みや物語を知り、その価値を再認識し愛着を深めてもらうこと、あるいはまちづくりのヒントにしてもらうことにあります。そのためには、まちや歴史に馴染みのない方にも、ご理解をいただけるようにと、今回のような演出も効果的だと考えております。実際、各種メディアに慣れ親しんだ若い世代の方からも、飽きることなく最後まで楽しめたという声をいただきました。
そして次の第2ステップは、大阪の物語を伝え発信する機会や場が、受け継がれて持続可能なものになるため、次世代の「語りべ」を養成するという大きな課題への取り組みです。
「今回のブリーゼ公演は、プロによるエンターテインメントとしては楽しませてもらったが、将来世代にも継承できるよう、後継者の育成をもっと考えてはどうか」という言葉をいただきました。実は、今回のような「語りべ劇場」は、一度に数百人の方に発信できるという意味で、シンボル的な、旗揚げ公演としての位置づけとして意味があると考えており、将来的には、この「語りべ劇場」で興味を持った方々に、まち歩きや、地域でのおはなし会に参加していただきたく、さらに、地域の語りべにもなっていただければ嬉しく思います。
一方で「語りべ劇場」も、一代で終わらせないような型を当初から意識し、幾つかの点に配慮してつくっています。ひとつは「朗読」形式。語り手は、必死で暗記したり役者のように演じるのではなく、朗読するのであれば、比較的誰でも始めやすいです。また映像も、基本は「紙芝居」形式。現在はIT技術が発達し、パワーポイントによる映像を使用していますが、これも映画のように動画にしていないため、なじみやすいと考えます。現在は、栗本自身が、文献調査を行いシナリオを書き、画像を集め編集し、朗読していますが、これを、各担当者で行うことももちろん可能で、その方が短期で充実した内容に仕上がるかもしれません。
将来的には、すでにあちこちで活躍されている、まち歩き、まちづくりのキーパーソンや郷土の歴史・文化に詳しい方々とも交流しながら、知恵や力を拝借できればありがたいと思っているところです。現在、北ヤードに活動の拠点をもてるよう少しずつ計画を進めているところです。
あと2〜3年は、第1ステップを充実させるべく、新しい作品を掘り起こしつつ、まだ特に工夫の余地がある映像について、新しいパートナーを開拓させる課題も克服しながら、多くの方に、大阪の物語を楽しく知っていただく機会を提供する活動に力を入れたいと考えています。今後もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
2010年6月11日
「大阪・キタものがたり、曽根崎心中から北ヤードまで〜音楽と映像で語る、
梅田・キタの歴史から未来へ〜」堂島リバーフォーラムにて
2013年に竣工する「大阪北ヤード・ナレッジキャピタル」の基本機能と構成施設のうち、いくつかを実証的に実施して体験してもらうというコンセプトで、「ナレッジキャピタルトライアル2010」が開催されました。初回の2009年に続きさらに計画をレベルアップすることをねらいとしたのが2010年の企画です。なにわの語りべ活動は、これまで、栗本を中心とするコアメンバーで作品を発表することが中心でした。これを第一フェーズとすると、第二フェーズとして、ナレッジキャピタルの中で大阪ガスが運営を担うスペース等を利用して、活動のネットワーク化を試み、後継者を育てるステップへと発展させたいと計画しています。またナレッジキャピタルにお目見えする約400人収容の劇場を、なにわの語りべ活動の発表の場として活用する予定です。
そこで、このトライアルイベントにも参画し、プログラムの一つとして活動内容を紹介してほしいという依頼を急遽受け、公演を実現させました。堂島リバーフォーラム1階のメイン会場では、情報通信やロボット、映像、アートなど技術者やクリエイターによる展覧会が繰り広げられており、そのお客様に、語りべ公演もご覧いただくため、同4階のギャラリー空間を利用した発表となりました。公演の内容は、梅田の歩みを、江戸期の曽根崎心中の頃から明治以降の発展期、そして近い未来・北ヤードまで紹介したもので、1時間あまりの上演を、2回公演としてお披露目し、合計200名以上の方にご来場いただきました。
日 時
2010年6月10、11日
場 所
堂島リバーフォーラム
主 催
株式会社ナレッジ・キャピタル・マネジメント(通称:KMO)
共 催
大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所、近畿圏部
出 演
栗本智代(語り・総合監修)
宮川真由美(ピアニスト)
西村恵一(ヴァイオリニスト)